ピースボートv114で世界一周 1日目(2023.4.7)

背中にはリュック、首にはカメラバッグ、そして海外旅行用の大きいスーツケースをごろごろしながら横浜は大さん橋へ向かう。最低限の装備である。荷物は事前に郵送で船に送ることもできたのだが、ギリギリまで準備をしていたのでそれには間に合わなかった。

大さん橋は12月に一度下見に来ていたので、久しぶり、という感じだった。

集合時間は9時だった(時間差を付けるため人によって違った)。行くとピーセン*1で見たことがあるような人が何人かいたが、おそらく私のことが分かる人はいないだろう。「いってらっしゃい」「いってきます」「楽しんできてね」などとやり取りをしているのを横目にスルーした。見送りはいない。

検査などを無事に全て通過し、部屋のカードキーなども渡され、ついに船に乗り込んだ。

大きい船!

てっきりスタッフは日本人ばかりだと思っていたので、外国人スタッフが多いことに驚いた(ハウスキーパーやレストランで働いているのはほぼ100%外国人である)。

まだ慣れていない様子のクルーに連れられて、部屋まで辿り着いた。部屋のグレードはいくつかあるが、私は一番安いプランなので知らない人4人との相部屋である。このドアを開けたらもう誰かいるのだろうか。

ドアを開けられて入ると、郵送で送ったのであろうスーツケースが1つと、ベッドが2つ。2つ?!あれ、4人部屋じゃないのか?この部屋で合ってる?特に何の説明もないまま部屋に放置された。これはどういう感じなのだろうか。

とりあえずベッドの上に置かれたプリント数枚に目を通す。どうやら今日は避難訓練があった後に出航式があるらしい。なるほど。それまでは特にはやることがなさそうだし部屋の観察でもするか。

テレビの下に金庫が2つあってその下に小さい冷蔵庫。洗面台とトイレとカーテンで仕切られた小さいシャワールーム。クローゼットと他にも引き出しがたくさん。よく見るとベッドの横に簡易ベッドのようなものが1つあったので3人部屋という可能性もゼロではないが、2人で使えるのなら結構快適なのではないだろうか。相部屋の人が来るまではまだ荷物を開けるわけにもいかないしとにかく暇なので、とりあえずスーツケースが置かれていない方のベッドに腰を下ろした。そして熱の後遺症の咳が止まらないのでひたすらのど飴をなめていた。

どれくらい待っただろうか。急に部屋のドアが開いてお姉さんが入ってきた。あれ、4人部屋じゃないの?!というような同じような反応をしていた気がする。最近人の年齢が全く当てられない。ちょっと上な気もするし、でももしかしたら下かもな。ひとまず軽く自己紹介をして、咳が出るけど一応コロナではないと伝えた。ベッドはどちらでもいいということだったので勝手に座らせてもらっていた方のベッドになり、もしもう1人来たらその時にまた話し合おうということになった。

「とりあえずこの後避難訓練があるみたいです」

 

やっと避難訓練の放送がなったので部屋を出るとキャッキャキャッキャした女の子がたくさんいた。合っているか分からないけれど同部屋の子ととりあえず近くの階段を下って避難。

マスターステーション(避難場所)に行くと若者がちらちらといて自己紹介をしていた。見るとみんな首からネームプレートをぶら下げていた。それはどこで手に入れたんだ(後から聞いたところ、ピーセンのいってらっしゃいパーティーでもらったらしい)。「○○です。」「○○です。」みんな名乗るのはニックネームである。自分もピーセンに行ったときに付けられたあだ名があったので「さめたカイロです(実際は別のあだ名だがこのブログではさめたカイロとする)」と名乗ると、隣にいた同部屋の子がキョトンとしていた。「何でみんなあだ名で名乗ってるの?」彼女は一度もピーセンに行ったことがないらしく、顔見知り程度の人も全くいないらしい。周りがわりと「久しぶりー」みたいな雰囲気で盛り上がっていたので、そういう子が近くにいてくれて心強かった。そんな彼女が自分で即興で付けたあだ名が「とくちゃん」である。そしてとくちゃんは偶然にも同い年であった。

 

避難訓練の後、出航式が始まった。ちょっとした、ちゃんとした式である。偉い人の挨拶とか、いってきますの挨拶とか、楽器隊が演奏してくれたりとか。神戸の方が近いのにこの出港式に参加するためにわざわざ横浜から乗る人もいるのだとか。陸にはお見送りに来た人が結構いた。やっと行けるんだと泣いている人もいた。自分は冬のクルーズに乗れなかっただけだけど、何年も船が出るのを待っていた人もいるんだもんな。「いってきまーす」特に誰に、というわけではないが、手を振って陸に別れを告げた。電波があるうちに帰りの飛行機を予約した。

無事に出航したのでとくちゃんと14階にお昼を食べに行った。14階レストランはバイキング形式の食べ放題である。ごはんもあればコーヒーやジュース、デザートもあるし、朝6時から夜0時まで開いているので食に困ることはなさそうだ。スーツケースにお菓子をたくさん詰めて持ってきたのだが、その必要はなかったようだ。お酒やおつまみはお金がかかるが、基本的な食事は全て船代に含まれている。

 

ある程度荷解きをした後に船内を探検した。慣れるまで迷いそうだ。ジムがあったので行ってみた。これも使い放題か。

 

夜ご飯は5階に行ってみた。14階でも食べられるが、5階ではコース料理が食べられるらしい。17時半からと19時からの二部制で、一応人によって時間が決められており、19時からだったのでその時間に行った(「一応」というのは、そこまで厳密ではなく17時半に行っても普通に入れてもらえるからだ)。

とくちゃんと2人で行ったのだが、入ると、4人席に通されて知らないおばさん2人と相席になった。各3種類くらいある中から好きなものを選んで頼む。

それにしても、よく揺れる。やっと運ばれてきた前菜を食べていると、船酔いに弱いとくちゃんがごめん、と部屋に戻ってしまった。知らない人の中で取り残される私。前菜が出てから次の料理が運ばれてくるまで30分くらい待った。なんでこんなに時間がかかるのだ。これなら14階で食べる方が待つストレスも無いだろう。味はまあ美味しかった。

 

部屋に戻ると、とくちゃんがベッドの上でしんでいた。大きい船は全然揺れないと聞いていたので初日からこんなに揺れるとこの先が心配でしかない。しかもただ揺れているだけでなく、時々座礁した?!と心配になるような音が響いたりもしていたのだ。大丈夫かな、この船。そんなに船酔いをする方ではないのにこの日はさすがに酔った。

そんな1日目。

*1:ピースボートセンター。東京、横浜、名古屋、大阪、福岡にあり、そこでボランティア活動をすると船賃が割引になる。